サンライズの「ソロ(上段)」は個室の中でも料金の安さが特徴です。サンライズ瀬戸で高松まで乗車しましたが、実際に利用してみるとやはり狭くシングルとは意外な点で違いがありました。
サンライズの「ソロ」に初めて乗ってみた
サンライズ瀬戸・出雲は現在日本で定期運航されている唯一の夜行列車であり寝台列車です。私はこれまで「出雲」に2回、「瀬戸」に2回乗車しており、「シングルデラックス」・「平屋シングル」・「シングル」・「シングルツイン」の4タイプの個室を利用してきました。
今回改めてサンライズ瀬戸に乗車し、これまで一度も利用したことのなかった「ソロ」を始めて利用しました。
「ソロ」と「シングル」はともに2階建て車両であるため階段が必要です。
床下にモーターがない「シングル」は空間を大きく取れるため上下階にそれぞれ通路があり、車両の両端に設けられた階段で上下を結んでいます。
それに対して「ソロ」は床下にモーターがあって空間を確保できないため通路は一段だけで、上段は室内に強引にねじ込まれた階段を利用して入ります。この階段の影響は実に大きなものがありました。
チケット争奪戦はそれほど激しくはない
「シングルデラックス」「サンライズツイン」「シングルツイン」といった希少性が高く人気の個室の場合は発売開始日の10時にみどりの窓口で行列の先頭にいなければチケットは取れませんが、「ソロ」の場合はそれほど争奪戦は激しくなく、発売開始日の夜でも問題なく取れました。
しかし今やサンライズも相当な人気列車になっているようで、発車して車内を探検してみると「シングル」・「ソロ」・「ノビノビ座席」全て満席となっていたようです。香川では朝のラジオで飛行機・JR・長距離バス等々、各交通機関の運行状況と空席状況を流しており、滞在中は連日「今夜の東京行サンライズ瀬戸は全て満席です」と伝えていました。
「ソロ」の各所サイズと設備
「ソロ」の通路は下段の床の高さとなっており、ドアを開けると顔の高さにベッドがあります。
そのためベッドには室内に設けられた階段で上がることになります。
一方、下段は足元にベッドがあります。
下段と上段の上下関係はこのようになっており、上段の階段の分だけ下段がえぐられており、下段の入口の分だけ上段がえぐられます。
サイズとしては枕側が幅65㎝(下段では70㎝)
足元側が55㎝(下段も同じ)
ベッドの長さは193㎝(下段も多分同じだと思う)
上段は天井の中央に照明が取り付けられており、ベッドからそこまでの高さが88㎝でした。上段は室内では立てません。(下段にはこういう照明がなく、高さが98㎝でした。また入口の土間の部分では立てます。)
階段の幅は枕側で33㎝、足元側で35㎝。
床からベッドまでの高さは154㎝です。
ベッドから窓までの高さは26㎝
上段には少しばかりの収納スペースがありましたが、私は大きな荷物は階段に置き、こちらには脱いだジャケットを入れておきました。
コンセントとコップは階段側の壁に取り付けられています。
シングルとの違いは「狭さ」
これまで「ソロ」に関しては開いているドアから中を覗き込むことしかできず、「カプセル」とか「寝袋」といったイメージを持っていました。
実際に乗車してみると階段を上がるのがなかなか大変で、子供の頃親に隠れて作った「秘密基地」を思い出しました。
窓までの高さがシングルに比べれば低いので寝そべった状態でも景色が見え、手を伸ばせばカギに届くのでそのままの姿勢で検札にも対応できます。ただ寝るだけだったらソロでも大丈夫でしょう。
ただ私のように室内で弁当を食べたり酒を飲んだりすることを楽しみにしている者にとって「ソロ」の室内は狭すぎます。
また階段部分は狭くて体を回転させることが難しく、車内を探検するため上り下りするのはいろいろと面倒なものがありました。上段のこの階段部分は完全なるデッドスペースと言ってもいいでしょう。下段の入口付近のスペースは土間として有効活用できます。
シングルの下段は低すぎて停車時にホーム上から見下ろされるような高さとなることが嫌だったのですが、ソロの下段はそれほど低くはありません。ベッドのサイズも広く天井も高いため、居住性としては下段の方が高いのではないかと思っています。
尚、上段に関しては音は全く気になりませんでした。
サンライズは廃止してはいけない
サンライズ瀬戸・出雲が誕生したのが1998年7月なので来年で25年ということになります。JRの特急型車両の寿命がおよそ30年なのだそうですが、後継車両を開発している気配が全く感じられないという鉄道ライターの記事をいくつか読みました。
連日満席状態が続いていて利益は出ているはずですが、サンライズ瀬戸の場合は東日本・東海・西日本・四国とJR4社にまたがって運行しており、手間がかかる割に各社の分け前が少ないという問題があるようです。
しかしサンライズを廃止してしまえば長距離の旅は新幹線か飛行機の完全なる2択になってしまい、誠に味気ないものとなってしまいます。リニアモーターカーや観光列車にばかり夢中になるのではなく、こういう個性的で人気のある列車の存続にも力を入れてもらいたいものです。