乃木坂46の31stシングルアンダーライブが全国Zeppツアーという形式で開催され、19日にKT Zepp Yokohamaで開催された神奈川公演を配信で視聴しました。中村麗乃が初座長を務めたライブは意外なメンバーと楽曲が爪痕を残しました。
- 今回のアンダラは全国Zeppツアー
- 「史上最少」をまたしても更新した
- 12月1日に発生したまさかの事態
- 今回のUCは中村麗乃以外ありえない
- 1階立見席は完全に「密」状態だった
- 意外なメンバーと楽曲が爪痕を残した
- 最も座長らしい座長だった
- やはりライブは現地で楽しむもの
今回のアンダラは全国Zeppツアー
アンダーライブ(アンダラ)とは乃木坂46のシングルで表題曲の選抜から外れたメンバーによるライブで、今回は12月7日(水)発売の31stシングル「ここにはないもの」のアンダーメンバー10名により開催されました。
前回の30thSGアンダーライブが東京・大阪の2ヶ所での開催となり、4年ぶりに地方公演が復活しました。今回はそこから一歩進んだ全国Zeppツアーとなり、神奈川・北海道・福岡・愛知・大阪の全国5か所で計9公演となっています。
初めて開催されたのが2014年ですからアンダーライブは8年の歴史があることになります。若干の例外はあるものの、基本的にシングルの発売ごとに開催されている「伝統の」ライブです。
今回12月19日(月)にKT Zepp Yokohamaで開催された31stSGアンダーライブ神奈川公演を配信で視聴しました。
「史上最少」をまたしても更新した
30thシングルのアンダーメンバーは12名で、31stではその中から和田まあやが卒業、阪口珠美と林瑠奈が選抜入りで抜け、逆に選抜から佐藤楓が「アンダー落ち」となりました。私が観に行った30thの東京公演は伊藤理々杏がスケジュールの都合で欠席であったので「史上最少」の11名でのライブでしたが、今回はそれをさらに下回る10人での開催です。
メンバーに対する運営の好き嫌いが激しいことは以前から感じており、「一度選抜入りすると落ちない」と過去に書いたことがあります。4期生が特にお気に入りのようで、「選抜入りさせた4期生は絶対にアンダー落ちさせない」という傾向が最近になって顕著となってきました。
ここ数年はシングルが出るたびにメンバーの卒業があり、それに加えて体調不良等による休業も相次いでいます。その度ごとにアンダーから選抜への昇格がありましたが、これは単なる欠員補充でしかなく、その逆はほとんどありません。そのため31stシングルは選抜が18人なのに対してアンダーが10人という実に歪な人員構成となってしまいました。
個々の人気という点で厳しいものがあるアンダーライブの場合、メンバーの減少はライブの動員に直接影響します。実際のところ29th以降は会場の規模が縮小の一途で、特に今回はライブハウスを使用しているにもかかわらず地方公演で当日券がでるという事態になりました。これ以上人数が減ってはもう興行として成立しないのではないかと思います。
アンダーライブは本来なら乃木坂46というグループの層の厚さの象徴であったはずで、「選抜メンバーが1人もいないのにアリーナクラスの会場が満席になる」と多くの人から驚きをもって受け止められていたものです。運営のつまらないこだわりのせいで、せっかくここまで育ててきた優良コンテンツを崩壊させてしまっていいのでしょうか。
12月1日に発生したまさかの事態
今回は配信での視聴ですが、もともとは12月1日の神奈川公演のチケットを購入済みでした。
しかし当日朝になって新型コロナウィルスの陽性が確認されてしまったため、誠に残念ながら参加を断念せざるを得なくなってしまいました。療養期間後に地方公演に遠征することも考えましたが、どうしてもスケジュールが組めなかったので今回は19日の神奈川公演を配信で視聴することで我慢するしかありません。
少しでも現地の雰囲気を味わいたかったので、19日のライブ当日にグッズの会場販売の列に並んできました。
待ち時間としては30分くらいだったと思います。場内ではリハーサルの真最中のようで、時々ものすごいボリュームで音がロビーに漏れてきました。
開場の3時間前だったにもかかわらず早くも祝花が並び始めています。
今回は初めて座長を務める中村麗乃のタオルを購入しました。
今回のUCは中村麗乃以外ありえない
31stシングルではアンダー曲の情報解禁がギリギリのタイミングであったので誰がUC(アンダーセンター)なのか様々な憶測が飛び交っていましたが、私は今回のメンバーなら中村麗乃以外ありえないと思っていました。
私が乃木坂46のライブに初めて参加したのは23rdシングルの際の横浜アリーナでのアンダーライブで、その際に山崎怜奈に匹敵する印象を残したのが彼女でした。「人気」という魔物と運営の匙加減に泣かされながらもライブを重ねるたびに歌唱力とダンスと存在感に凄みを増していき、特に前回の30thSGアンダーライブでは林瑠奈と二人で「無双」していたといってもいいでしょう。
そんな中村が初めてUCに選ばれたことで、加入以来ずっと日陰にいた彼女にようやく少しだけ光が当たりました。「ミーグリ」の完売数がアンダーで最も多い佐藤璃果への待望論も多かったようですが、ライブの「座長」としては弱すぎると思います。
1階立見席は完全に「密」状態だった
今回のライブで最も気になっていたのがZeppホールの1階立見席とはいったいどのようなものなのかということです。
配信の画面上では1階のステージ寄りの部分が上から映し出されましたが、狭いスペースに頭がびっしりと並んでいて床が全く見えない状態でした。立っているのか座っているのか上からの映像ではわからなかったのですが、MCの場面になっても無数に映る頭が上下する様子が見えなかったので、やはり全員立っていたのでしょう。
途中でトイレにでも行こうものなら二度と元の場所に戻れないのはほぼ確実で、身長158㎝の私ではひょっとするとステージが全く見えなかったかもしれません。見るからに「密」状態であり、もし12月1日に私が解熱剤か何かでごまかして参加を強行していれば大変なことになっていたでしょう。
意外なメンバーと楽曲が爪痕を残した
画面上で見る限り大がかりなセットは組まれていないようで、その分だけ歌とダンスによるガチンコ勝負ということになります。事前の予想では中村麗乃と伊藤理々杏の「二人会」のようなライブになるかと思っていましたが、序列など二の次で個々のメンバーにできるだけ均等に光を当てようとするアンダーライブでは意外なメンバーと楽曲が爪痕を残すことになります。
ライブの前半部分で「三番目の風」「四番目の光」と従来のアンダーライブでは絶対にありえなかった曲が披露され、イントロで配信でも分かるくらい場内がどよめいていました。アンダーが3期生と4期生だけになってしまったことを否応なく思い知らされることになります。
7曲目くらいまでは正直言ってみんな力んでいて歯車が嚙み合っていないように思いましたが、8曲目の「路面電車の街」で吉田綾乃クリスティーの柔らかで伸びのある歌声で場が落ち着きを取り戻したようです。歌唱力があるとはとても言えない向井葉月の歌声にはなぜか心に染み入ってくるものがあり、これまで何回も聞いてきたはずの「明日がある理由」が今回初めていい曲だと思いました。
13曲目の「いつかできるから今日できる」は2017年10月というグループ全体が勢いよく右肩上がりを続けていた時の表題曲で、オリジナルでは冒頭に西野七瀬・白石麻衣・斎藤飛鳥・堀未央奈の順でソロパートが続いていました。しかし全員声が弱く不安定で、歌番組に出演するたびに「放送事故」とネットがざわついていたことを今でも覚えています。
今回のライブでは曲全体を細かく分け、東京ドームでの「きっかけ」のように全員にソロパートが割り振られましたが、全盛期の超豪華メンバーが常に炎上していた難曲を見事に歌いきっていました。これこそがアンダーライブの醍醐味であり、ここで気分が盛り上がった結果、「マシンガンレイン」「届かなくたって...」「錆びたコンパス」「日常」と続く王道のアンダー曲を堪能できたように思います。
最も座長らしい座長だった
最期は座長の中村麗乃の挨拶の後、アンダー曲の「悪い成分」が披露されました。
同期の大園桃子や山下美月が加入直後から運営に推されたのに対し、中村はずっと地味な存在であり続けました。しかしその中でも舞台出演やボイストレーニングを続けた結果、ライブでのパフォーマンスにおいてグループでも屈指の実力者となっています。(私は歌唱力では久保より上だと思っている。)
それだけに「心の奥で眠っている本当の気持ちはみんなにも私にもたくさんあります。」という言葉には重みがありました。松尾美祐の決意表明の中に「加入してから努力だけではどうにもならないことにたくさん出会って、難しいなと思うことがたくさん増えました。」とあったように、アンダーメンバーはそれぞれ内面に人に言えない葛藤を抱えているようです。
おバカキャラのイメージが強かった中村がこんな人の心を打つスピーチをするとは思っても見ませんでした。私が乃木坂のライブを見るようになって以来、最も「座長」らしい座長だったと思います。
「悪い成分」は中村の歌唱力を全面的に活かす内容となっており、センターのソロ歌唱がこれだけ長いアンダー曲は記憶にありません。
アンダーライブの座長に続いて先日は賀喜遥香の代打で歌番組にも出演し、いきなりフロントに入っていました。山下美月や遠藤さくらと並んでも特に違和感がなかったのですから、中村にはそれなりの存在感があるのは間違いありません。これで少しは流れが変わってほしいものです。
やはりライブは現地で楽しむもの
斎藤飛鳥が抜ける32ndシングルでは5期生を合流させる必要が出てくるでしょうし、そうなると「選抜入りさせた4期生は絶対にアンダー落ちさせない」なんてことは言ってはいられないはずです。
アリーナクラスの会場を再び満席に出来るよう、グループ内で適正な人員配置がなされてほしいものです。
配信でも十分満足できたライブで「アンダラに外れなし」を再認識しましたが、それだけに現地にいた人は楽しかっただろうなと思います。ライブはやはり現地で楽しむものです。今回は不運だったと諦め、必殺の気合でバスラの初日と4日目を申し込むことにします。