横浜アリーナで開催された乃木坂46の「11TH YEAR BIRTHDAY LIVE」は3期生が際立っていたと思います。比較的地味な存在ながら個性派の実力者ぞろいであり、4期生や5期生に対して力の差を見せつけていました。
- 11回目のバスラは横浜アリーナで開催
- 超個性派で実力者揃いの3期生
- グッズの待機列がえらいことになっていた
- 行列・生写真交換・ポスター交換の復活
- 大幅に簡素化された入場時のチェック
- 場内の様子
- ついにコールが復活した
- 特に印象的だった曲
- 3期生が力の差を見せつけた
- 配信より現地の方が厚みを感じる
11回目のバスラは横浜アリーナで開催
2012年2月22日にメジャーデビューした乃木坂46は毎年2月下旬にデビュー記念日を祝うライブを開催しており、「BIRTHDAY LIVE」(通称「バスラ」)と呼ばれています。(会場確保の関係で時期がずれたこともある。)
「11TH YEAR 」にあたる今年は2月22日(水)より26日(日)まで横浜アリーナを会場として開催され、初日が全メンバーによるライブ、2日目が5期生ライブ、3日目が4期生ライブ、4日目が3期生ライブ、そして最終日が秋元真夏の卒業コンサートという構成でした。
収容人員7万人の日産スタジアムから一転して今年は1万5千人の横浜アリーナとなり、当然のことながらチケットの争奪戦は相当なものとなります。
31stシングルのアンダーライブをまさかのコロナ陽性で棒に振った私は必殺の気合で初日と4日目を申し込み、一次先行で4日目の3期生ライブが当選しました。
初日の全体ライブは二次先行・一般申し込みと挑戦を続けましたが結局ダメ。しかしネット上の書き込みを見ているとたとえ1日だけといえど当たったのは相当な幸運だったようです。
超個性派で実力者揃いの3期生
全体ライブと期別ライブを組み合わせたのは9thバスラと同じで、この時は2月下旬から5月上旬にかけて5回(全体ライブと1期~4期の期別ライブ)に分けて無観客配信で開催されました。脂がのったメンバーが突っ走った3期と掘の卒業ライブでもあった2期が突出していたのに対し、1期は間延びしていて4期は内容が薄かったというのが全て見た私の印象です。
選抜メンバーを多数輩出している4期生に対し、3期生は2極分化してしまったと言われています。しかし人気という魔物と運営の匙加減に泣かされてはいるものの、3期生はアンダーメンバーも超個性的な実力者揃いです。全体ライブに加えて3期生ライブだけ申し込んだのはそこのところに期待したからで、結果としてこれが大当たりでした。
グッズの待機列がえらいことになっていた
チケットが当たれば次は記念グッズの入手で、3期生ライブなら中村麗乃の個別マフラータオル一択です。
当選通知を見てすぐグッズの公式HPを開くと既にほとんどが在庫切れとなっていましたが、数週間後に「在庫が復活している」という情報を入手して事前にグッズを購入することができました。復活分もすぐに完売してしまったようなので「ついていた」としか言いようがなく、物販の気ちがいじみた行列に並ばずに済んだのは奇跡に近かったのかもしれません。
ライブ初日である2月22日は3月22日出発分のJRチケットの発売日となります。この日に出発するサンライズ瀬戸A個室のチケットを入手すべく、私は9時半頃に新横浜駅に来ていました。(いわゆる「10時打ち」です。)
すると駅構内が大変なことになっているではないですか。
なんと地下鉄の駅付近にまでポスターがあります。
3日目までは配信で見るので横浜アリーナに用はありませんが、6室しかないA個室のチケットを確保できたことで気分がよくなり、3日後に備えて現地を下見することにしました。
開場が16時半で開演が18時なのですが、10時の時点で早くも物販の列がえらいことになっています。2月12日に開催された事前販売会もとんでもない待ち時間となったようで、ネットの情報によると2日目以降は夜中から並んでいた人もいたようです。
4日目に私が現地入りした時点では完全に焼野原状態で、事前に入手できていたからこそ心安らかに家を出ることができましたが、もし「在庫復活」の情報を見逃していたらとんでもないことになっていたと思います。
行列・生写真交換・ポスター交換の復活
ライブの中でもバスラは特別なようで、横浜アリーナはこれまで見たことのないような乃木坂仕様の装飾となっていました。
メンバーの写真の中には昨年の神宮球場ライブ以降ケガの治療で休業中の掛橋沙耶香のものもあります。
こちらは4日目仕様の看板のようです。
横浜アリーナ正面の駐車場には乃木坂仕様に装飾された「痛車」がズラリと並んでいました。
ナンバーを隠しているのは写真を撮ってくれということでしょうか。
社会は確実にコロナ前の状態に戻っているようです。しばらく見なかったポスターの交換が復活していました。
かつての幕張メッセ全国握手会を思わせる光景ですが、手前にある青い柵の中にいるのはそのほとんどが生写真の交換をしている人々です。集団の中に入ってみると「山下、私服」とか「梅、寄り」といった言葉が飛び交っており、あちこちから「五百城ないか?」「ない!」という声が聞こえてきました。
大幅に簡素化された入場時のチェック
会場の正面にはいつも通り禁止事項を列挙したおっかないお知らせが並んでいました。
しかし、ソーシャルディスタンスを徹底したうえでCOCOAのチェック、サーモグラフィーによる検温に加えて靴裏の消毒までやっていたぴあアリーナアンダラの頃と比べると随分とおとなしい内容になったと思います。
入場が始まったのは定刻の16時半を少し過ぎたタイミングでした。
金属探知機によるチェックを行っています。
チケットと身分証の照合が終われば入場できます。検温と手荷物検査は今回ありませんでした。
場内の様子
会場全体が興奮状態だった
乃木坂のライブでは恒例の出演者の幟が新しくなっていました。
祝い花の筆頭は今回もバナナマンで、鈴木拓、ハライチと続きます。
ハライチは澤部と岩井で別々でした。
その他にもテレビ番組での共演者が続いていました。
乃木坂46のイベントで注意しなければいけないのはトイレです。17時頃に1階トイレはこのような状態となっており、女性スタッフが「2階にもトイレがあります!2階の方がすいています!」と声を張り上げていました。
その頃の2階のトイレの様子です。
コロナ禍に伴う各種の制限がほぼ撤廃された最初のライブということで会場全体が興奮状態にあったようで、「ロビーでは立ち止まらないでください!」という会場スタッフの声が各所で響き渡っていました。
毛穴が見えてもおかしくない距離
今回確保できた「センターHブロック80番」というのは最前列から30列目、外周ステージからは3列目で、本来ならモニターなどなくてもステージ上のメンバーを識別できる良席です。しかし身長190㎝はあろうかと思われる巨人が前の方にいたため私からはステージ中央付近が全く見えず、事実上の「見切れ席」と言ってもいい状態でした。
一方、メンバーが外周ステージ上にいる際は完全なる特等席で、階段の踊り場を見上げているような感覚です。毛穴が見えてもおかしくないような距離であるにもかかわらずメンバーの肌はそんなものを感じさせないほど綺麗で、激しく動いていながら汗をかいている様子は全く見られませんでした。
やはり画面越しで見るのと直接見るのでは全く違うものです。「設定温度」で自分の歌割りがまわってくるのをじっと目をつぶって待つ梅澤美波の立ち姿は至近距離から見ると息をのむほどの美しさでした。
クジラとイルカの秘密
「ガールズルール」、「ジコチューで行こう」といったノリのいい曲の場合、観客の上をクジラやイルカが飛び交う演出がなされており、どういう仕組みになっているのか配信で見ていてどうにも気になっていました。
現地で実際に見てみると、どちらも飛行船の原理で動いているようです。
イルカは左右のヒレの前後に小さなプロペラが計4個付いており、これを動かしたり停めたりして海中を泳いでいるような動きを出していました。またクジラはドローンが2機取り付けられていました。
蝶々については見ただけでは分かりませんでした。
ついにコールが復活した
今回のライブで最も話題になっていたのがコールの復活です。政府による「大規模イベント自粛要請」が出される直前の2020年2月21日~24日にナゴヤドームで開催された「8TH YEAR BIRTHDAY LIVE」以降、コロナ禍により乃木坂46のライブではコールが禁止されてきたので、コールのあるライブは3年ぶりです。
私自身はコールなどこのまま根絶してもいいのではないかと思っていましたが、一方で「乃木坂の詩」での大合唱がなくなってしまったことに寂しさも感じていたのも確かです。OVERTUREと共に沸き起こった地鳴りのような大歓声を聞いていると「また一つ日常が戻ってきた」という気分になれました。
しかし禁止されていた3年の間にも多くの曲が発表されており、こうした曲の場合は客の側に明らかに戸惑いがあったように思います。事前に「乃木坂46分TV」が10日連続で配信され、その中で毎日1曲「コールの練習」が行われていましたが、そんな通り一遍のもので定着するはずがありません。
コールの音量で曲の人気を比較しようとするのは無意味です。
特に印象的だった曲
加入して7年目という脂ののった経験豊富なメンバーのライブということで、力強さのあるパフォーマンスが滑らかに進行していったように感じられました。約2時間半のライブで全27曲が披露され、その中で特に印象的だった曲をご紹介します。
錆びたコンパス
全体ライブでも4期生ライブでも披露されなかった「錆びたコンパス」がまさか3期生ライブで登場するとは思っていませんでした。一昨年の3期生ライブでの「アナスターシャ」と同様に中村麗乃がセンターで、こういう時の彼女は絶対に期待を裏切りません。気合の入った表情で会場を沸かせていました。
この曲は現地にいてこそ良さがわかると思っています。リピート配信を見ましたが、実際の盛り上がりの半分も伝わっていないように思います。
命は美しい
盛り上がりが最高潮に達したのが「お見立て会リバイバル」で、2016年12月10日に開催された「3期生お見立て会」で披露した「命は美しい」・「裸足でSummer」・「ガールズルール」を再現しました。
当時の3期生は表舞台に登場する際はいつも「命は美しい」を披露しており、いまにも泣き出しそうな表情の大園桃子を中心に危なっかしさで一杯であった記憶があります。それが今では満員の横浜アリーナを熱狂させるような力強いパフォーマンスを披露しているのですから、7年間の経験というのはものすごいものです。
僕の衝動
乃木坂工事中の「内輪ウケものまね」で取り上げられて以降、この曲も完全にライブの鉄板曲となっており、今回は本編のラストの曲の前という重要な場面で披露されました。
いつも話題になる伊藤理々杏の最後の決め顔(「理々杏の全部のせ」というらしい)の場面は満場が「来るぞ!」「来るぞ!」「キターッ!」状態となっていました。
僕が手を叩く方へ
昨年の神宮球場ライブで劇的に評価が高まった曲で、もはや3期生曲という枠を超えてグループの代表曲となっています。予想通り本編の最後に披露され、場内を一つにまとめていました。
終盤にバンド演奏が止まって場内の手拍子だけで歌う部分が曲のピークで、ここで手拍子が揃うと最高の気分になれます。そしてバンド演奏が再開されるタイミングに合わせてメンバーのメッセージ入り紙吹雪が場内全体に舞いました。
2枚だけ入手できました。
全員分のメッセージをまとめたカードがライブ終了後に出口で配布されていました。
3期生が力の差を見せつけた
3期生ライブの翌日の5日目は秋元真夏の卒業コンサートで、更に3月28日には鈴木絢音の卒業セレモニーが予定されています。そうなると遂に3期生が一番上の世代となり、世代交代が一旦ここで完了します。そのためライブの要所要所で各メンバーより決意表明がなされていました。
最近は5期生にばかり注目が集まって3期は比較的地味な存在となっていますが、7年間かけて地道に積み上げてきたものはやはり大きく、3期生ライブは他の期生ライブとは歌もダンスもレベルが全く違うように感じました。(全体ライブと全ての期生ライブのリピート配信を見てこのことを再認識した。)
女性アイドルグループは新旧交代が激しい世界ですが、「若ければいい」「新しければいい」というものではないようです。
配信より現地の方が厚みを感じる
2月25日に現地で見たライブを翌週の3月4日にリピート配信でじっくりと見返しました。
配信は確かに見やすいのですが、メンバーは映像を通すより直接見た方がはるかに綺麗です。また地鳴りのようなコールや腹に響いてくる重低音も画面上では随分とマイルドになっていました。
「錆びたコンパス」や「僕の衝動」のイントロが流れてきた時のどよめきや「僕が手を叩く方へ」が紹介された時の「待ってました!」とでもいうような反応は恐らく配信では伝わっていないのではないでしょうか。
同じ景色を見て同じ音を聞いていたはずですが配信は見え方・感じ方が全く違い、現地にいた方が厚みがあったように思います。