ほぼ2年ぶりにサンライズ出雲に乗りました。東京駅から出雲市駅までの約12時間の旅は快適で、様々なビューポイントを楽しむことができました。サンライズ出雲の場合、進行方向右手のシングルが絶対だと思います。
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ほぼ2年ぶりのサンライズ出雲
ここ最近はサンライズといえば瀬戸ばかり利用してきましたが、先日久しぶりに出雲に乗車してきました。一昨年の5月にサンライズ出雲91号に乗車して以来なので、ほぼ2年ぶりです。
出雲に行かなければならないのは年始の時点で分かっていたのですが、スケジュールがはっきりしなかったことと、最近のみどりの窓口の狂ったような混雑のせいでなかなか踏ん切りがつかずにいました。このままでは7月以降にずれ込むことが必至とも思われましたが、一念発起して横浜駅のみどりの窓口に向かったのが4月6日です。
「水曜日発のサンライズ出雲で進行方向右手のシングル」という条件で探してもらい、24日発の便でどうにかチケットを確保できました。どうやら条件を満たす最後の1席だったようで、下段の喫煙席でしたが贅沢なんか言っていられません。
心が沸き立つ東京駅の9番線
サンライズに乗るために東京駅の9番ホームに上がるのは何度目であっても心が沸き立つものがあります。しかし8回目となるとさすがに落ち着きは出てくるもので、シャワーカードの列に並んだり、車内で弁当を食べるために乗車まで夕食を我慢するなんてもうしません。発車したら余計なことは一切せず、丹那トンネルをくぐる前に寝てしまう心づもりです。
この日の東京は雨でしたが、翌日以降の天気予報で出雲は晴れとなっていたので全く心配はしていません。
右側の下段ということで、個室の中から見た東京駅はいつもと随分と違っていました。
右側は発車直後の景色も違います。東京タワーを見たかったのですが、雨のせいかそれは叶いませんでした。
下段は駅を通過する際にちょっとだけびっくりします。
当初予定通り検札が済んだらすぐに飲み始め、沼津駅付近でもう寝てしまいました。
岡山駅で切り離し作業の動画を撮影
目が覚めたのは5時過ぎで、姫路駅には少々遅れて到着しました。岡山駅到着前の「おはよう放送」によれば東海道線の工事区間で速度を落として運転したことが原因だったようです。
今回は「列車ただいま時刻通り運転しております」という訳にはいきませんでしたが、このくらいなら全く問題はありません。
岡山駅ではサンライズ瀬戸と出雲の切り離しを行います。作業が終了すると瀬戸はすぐに出発してしまうので、じっくりと見ることができるのはサンライズ出雲に乗っている者の特権です。そのため今回は最初から最後まで動画で撮影してやろうと狙っていました。
7・8両目の連結器の前に立つのではなく後方の階段を駆け上がった私に、「さすがよく分かっていらっしゃる」と後ろから声をかけてくる人がいました。(動画でも10秒付近で声を拾っています)
高松駅到着と同時に讃岐うどんの食べ歩きを始めるサンライズ瀬戸の場合と違い、サンライズ出雲の場合は車内で朝食をとらなくてはなりません。岡山駅ではバタバタしていて買い物どころではなかったので、東京駅で弁当を買っておいたのは正解でした。
下段は目線が低くなって驚くほど線路に近づきます。そのため車窓の流れに何やら迫力が感じられました。ちなみにサンライズ瀬戸の場合、高規格の瀬戸大橋線に入ると防音壁が高くなるため下段からは何も見えなくなります。瀬戸大橋を走行中は海が見渡せますが、途中の島の上を通過する際にやはり防音壁が邪魔になります。
伯備線で中国地方を横断
岡山駅新幹線ホームのうどん店で有名なぶっ掛けふるいちの横を通過するとそこはもう倉敷駅で、サンライズ出雲は山陽本線から伯備線に入ります。
左手に見えてきた高梁川橋梁は平成5年度土木学会技術賞奨励賞を受賞するほどの建築物で、その独特な形状が印象的です。普通なら橋は一直線に川を横切るものですが、こちらはカーブしています。
新見に到着する直前、右手に小さな滝が見えました。こちらには井倉洞という岡山県の天然記念物に指定された鍾乳洞があり、洞窟内の水が流れ出ているのです。
サンライズは川の流れと逆方向に坂を上り続け、岡山県と鳥取県の県境である谷田峠のトンネルに入ります。
トンネルを抜けると曇天からいきなり晴天に変わり、明らかに傾斜も下りに変わりました。中国山地を超えるというのはそれだけ大変なことなのでしょう。
サンライズはこれ以降は川の流れる方向に進行します。
根雨(ねう)駅から徒歩45分くらいの場所には金運のご利益で有名な金持神社(かもちじんじゃ)があります。
伯備線は鉄道写真を趣味にしている人にとっては聖地と呼んでもよい場所らしく、サンライズの窓から見ていても「撮り鉄」と思しき人が線路際に何人も控えていました。
ちょうど新型の「やくも」が運航を開始したタイミングで、このブロンズ色の電車が目的だったのではないかと思います。
山を下りきって平地に降りてくると車内アナウンスで国立公園大山の案内があり、その通り進行方向右手後方にその美しい姿が見えてきました。
しばらくすると右側から別の線路が近づいてきて合流し、サンライズ出雲は伯備線に別れを告げていよいよ最後の山陰線に入ります。
宍道湖と斐伊川が旅のフィナーレ
足立美術館の最寄り駅として知られる安来駅を過ぎると進行方向右手には中海が広がります。
中海と宍道湖は大橋川という川で結ばれています。宍道湖・大橋川・中海はほとんど水位に差がないため潮位の影響を受けることになり、エリア全体で淡水と海水が混ざり合う汽水域となっています。
松江駅を過ぎると山陰線は今度は宍道湖に沿って走ることになり、車内アナウンスでも宍道湖の案内が流されました。
アナウンスの後、進行方向右手は車窓一杯に宍道湖の風景が広がります。サンライズは湖から離れては近づきを繰り返し、宍道駅到着までの約10数分にわたってこういう景色を楽しむことができました。
サンライズ出雲の約12時間の旅のフィナーレを飾るのが斐伊川です。
ヤマタノオロチ伝説の舞台となった川で、首都圏で見ることができる川とは明らかに姿が違っています。
サンライズ出雲は岡山駅付近での6分の遅れを見事に取り戻し、定刻の10時ちょうどに出雲市駅に到着しました。
サンライズ出雲は右側のシングルに限る
ご紹介した車窓は高梁川橋梁を除いて全て進行方向右手にあり、岡山駅での切り離し作業を除いて動画は全て13号車5番の個室内で撮影したものです。姫路付近で目を覚ましてから出雲までほぼ窓に張り付いており、退屈とは全く無縁の快適な旅でした。しかし身動きの取りづらいソロだと12時間の旅は少々しんどいのではないかと思います。
サンライズ出雲に乗るなら右側のシングルに限ると以前から思っていましたが、それを再認識しました。