乃木坂46の最後の1期生である齋藤飛鳥の卒業コンサートが5月17日・18日の両日に東京ドームで開催され、18日に参加してきました。大エースの卒業ライブだけあって何もかもこれまでと様子が違い、質も高かったと思います。
- グループの大黒柱だった齋藤飛鳥
- 2日間の公演に63万人の応募があった
- 様子がまるで違っていた聖地
- 現地も様子が違った
- 入場時には様々なチェックがあった
- 天空席だからこそ見えたものがあった
- 現地の良さを満喫できた演出
- ライブとしても質が高かった
グループの大黒柱だった齋藤飛鳥
乃木坂46の齋藤飛鳥は2011年8月のグループ結成時から在籍していた1期生で、当時は13歳でグループ最年少でした。
私が乃木坂に興味を持ち始めたのは2013年3月に発売された5枚目シングル「君の名は希望」からで、当時放送されたNHKの「Rの法則」に出演していたのが私にとって最古の齋藤飛鳥です。星野みなみに代わって「制服のマネキン」のフロントに入り、生駒里奈・生田絵梨花に続いて登場したシーンがなぜかわかりませんが今でもしっかりと記憶に残っています。
今では考えられないのですが当時の齋藤飛鳥は選抜よりもアンダーにいる時間の方が長く、私も「乃木坂にはサイトウが多いんだな」という認識しかありませんでした。(当時サイトウは3人いた。)そんな齋藤飛鳥も次第にグループ内で存在感を増し、西野七瀬や白石麻衣に次ぐ三本柱の一角のような存在となり、二人の卒業後は押しも押されもせぬグループの大黒柱となるのです。
2日間の公演に63万人の応募があった
白石麻衣の卒業以降の乃木坂46は3期生や4期生が前面に出ることが多くなりましたが、そんな際にも「まだ飛鳥が後ろに控えている」と思えるのは何とも心強いものでした。そんな大エースが5月17日・18日の両日に東京ドームで卒業コンサートをするのですから、両日とも満席にするのはファンの義務でしょう。平日だなんて言っていられません。
考えることはみんな同じようで、キャパ5万人といわれる東京ドームでの2日間の公演に対し、延べ63万人の応募があったといいます。チケットの争奪戦は熾烈を極め、ネット上は落選者の悲痛な叫びで満ちていましたが、私は幸いにもモバイル1次先行で二日目が当選しました。
ただし、2階1塁側D08ブロック4列374番というのはネット上に貼られていた画像で「傍観者席」とまで書かれた2階席の端っこにあります。前から2列目だった先日のアンダーライブとのギャップはもの凄いものがありました。
様子がまるで違っていた聖地
乃木坂46にはことあるごとにファンが集結する「聖地」と呼ばれる場所がいくつかあります。これまで節目と思われるライブの度に聖地の様子を見に来ましたが、今回はこれまでとは全然様子が違っていました。
乃木坂駅
乃木坂駅はメンバーの卒業や誕生日といったタイミングでファンの有志が広告を貼り出す場となっています。
この日は齋藤飛鳥に関するものの他、池田瑛紗の誕生日を祝うものが貼られていました。
ポスターの写真を撮るための順番待ちの行列までできていました。
乃木神社
この日は鳥居の前の段階で既にいつもと全く違う雰囲気でした。
真ん中の、幟が立てられている場所よりもお参りの行列が長く伸びているのは初めてです。
乃木坂ラーメンまる彦
今や乃木坂・乃木神社とセットになったような場所で、特に首都圏でライブが開催される際に熱心なファンはここでラーメンを食べてから会場入りします。最近は行列がとんでもない長さとなってきたため、昨年の全国ツアーより整理券制が導入されました。
店頭で整理券を配っていた店主に聞くと3時間待ちということでしたので、さすがに今回は諦めました。
現地も様子が違った
地下鉄を乗り継いで東京ドームまで来ました。
水道橋駅から東京ドームにつながるルートはどちらも乃木坂仕様です。
物販会場は賑わっていましたが、ネットで事前に購入した人が多かったようで横浜アリーナでのバスラの時のような行列はありませんでした。またこの日は気温が30度を超えていたということもあったのか、生写真の交換をしている集団も見かけませんでした。
私も今回はネット上で事前に購入しました。齋藤飛鳥一人が主役のライブですから、これ以外ないでしょう。
東京ドームシティー全体が齋藤飛鳥の卒業を祝おうとしているかのようでした。
こちらの幟は全て齋藤飛鳥です。
加入時から現在までの姿がその時々の表題曲の衣装で写されています。
幟に関しては最近はライブごとに新しいものを作っているようです。
こちらは全て齋藤飛鳥の幟の前で写真を撮ろうとしている人の列です。
こちらも全て齋藤飛鳥の幟の前で写真を撮ろうとしている人の列です。
日刊スポーツ特別号を販売するブースです。近隣のコンビニでは報知新聞の特別号を販売していました。
どこもかしこも人・人・人。横浜アリーナや神宮球場でもすごいと思いましたが、やはり東京ドームは規模が違います。
入場時には様々なチェックがあった
コロナが落ち着いてかなり簡素化されたとはいえ、入場に際してはやはり様々なチェックが入ります。
私が入場する40ゲートは階段を一番上まで上がった場所にあります。16時開場だったのでその15分くらい前に上がってみるとなんと待機列の先頭になりました。中央のボードの陰にスタッフが控えており、長テーブルの上で手荷物検査をします。その奥にいる制服姿のガードマンが金属探知機を持っていました。左手奥の回転扉の前でチケットと身分証の照合を済ませて入場です。
入ってすぐのテーブルに卒コン名物のフライヤーが積まれていました。(入場時点ではもっとうず高く積まれていた。)
「アンコール終了後、齋藤飛鳥さんの最後の挨拶が終わり、メンバーが深いお辞儀をしている最中に表面のデザインをメンバーに向けて掲げてください」と裏面に書かれています。しかし実際はまず他のメンバーが退場し、最後に残った飛鳥がゴンドラに乗って天空に去るという想定外のエンディングとなり、ほとんどの人がフライヤーを出すタイミングを失してしまったように見えました。(配信ではこのあたりはどう映っていたのでしょうか?)
私の席は4Fの端の1番通路から入場し、そこからさらに右に移動した場所です。
ここから先は撮影禁止です。
天空席だからこそ見えたものがあった
2021年の東京ドーム公演では1階席の前から11列目で、「あんな高い場所から見ている人がいるんだな」と下から見上げたまさにそのあたりが今回の席です。東京ドームで「天空席」というのは厳密には2階席のさらに上段部分を指すようですが、試しに最上段まで上がってみたものの見え方としては大差なく、私のいた4列目も「天空席」と呼んでもいいでしょう。
前回は「メンバーは小指の先くらいの大きさ」と書きましたが、それよりはるかにステージから遠ざかった今回はもう表現の仕方が思いつかないくらい小さく、その代わり場内全体をやけに良く見渡すことができました。
コロナ禍で様々な規制がかかっていた前回と違い、世の中が落ち着いた今回はマスク以外の規制が撤廃されており、人数制限がないことから見切れ席(ステージの一部が見えない)・ステバ席(ステージが全く見えない)も発売されて完売しています。そのためステージ裏の外野席がバックスクリーンの際まですべてきれいに埋まっていました。
ほとんどの人が飛鳥のサイリウムカラーである「水色×白」でペンライトを点灯しており、それを遠くから見ると「白っぽい」という感じになります。ステージと通路と記者席以外のドーム全体、アリーナからステージ裏の外野席から2階最上段の席まですべて白っぽくなっていて、風に吹かれた稲穂のように揃って揺れている光景はまさに絶景でした。
一面の白っぽい世界が「インフルエンサー」では真っ赤になり、「サヨナラの意味」のイントロが流れると緑に変わります。1階席では「気が付いたら全部変わっていた」という感覚ですが、上からなら白→赤、白→緑と水が染みわたるように変わっていく様子をしっかりと見ることができます。
ちなみに双眼鏡は倍率を上げると手振れが激しくなり、今回も全く役に立ちませんでした。こういう席の場合は腹をくくってモニターに集中するしかないようです。
現地の良さを満喫できた演出
開演10分前という異例の時間に始まった「影ナレ」において、運営の菊池氏と今野氏の呼びかけで実施された「5万人の円陣」は「努力・感謝・笑顔!うちらは乃木坂上り坂、フォーティーシックス!」と全員が大合唱するもので、現地にいるからこそ体験できるサプライズを満喫しましたが、この部分は配信ではちゃんと映っていたのでしょうか。
私が思う齋藤飛鳥の代表曲は「裸足でサマー」でも「ジコチューで行こう!」でもなく「Sing Out!」で、ライブでは絶対に盛り上がる鉄板曲です。今回は途中でクラップだけを伴奏とした観客全員による大合唱が行われ、これまで感じたことのないような一体感を味わうことができました。
「Sing Out!」には「大声で歌う」という意味があるようです。この曲が発表された頃は手拍子やサビの部分の振り付けばかりが観客にアピールされ、「皆さんで一緒に歌いましょう」という演出はありませんでした。そのうちコロナで声を出すこと自体出来なくなっていたため、今回は観客全員が大声で歌った初の「真のSing Out!」なのではないかと思います。
曲の後半部分で披露されるソロダンスは誰でもできるものではなく、さながら「Sing Out!後継者決定戦」の様相を呈していた11thバスラで明らかになったのは山下美月も田村真佑も飛鳥の敵ではないということでした。この曲を継げるのは独自の振り付けで臨んだバレエのスペシャリスト岡本姫奈だけでしょう。
アンコール冒頭のスピーチで飛鳥は自分が受けた恩を次につなげる「恩送り」について語り、残る後輩たちへの変わらぬ応援を切々と訴えました。そして「誰よりも支えてくれたお母さんのことも思い浮かべながら歌おうかなと思います。」と結ぶと「硬い殻のように抱きしめたい」のしっとりとしたイントロが流れてきた訳ですが、この流れの中でゾロゾロと立ち上がるなんて野暮の極みでしょう。私が見た範囲では、2階席はみんな着席したままでスピーチと歌を聞いていました。どうやら「傍観者席」にいた人が一番真剣だったようです。
まさかのエンディングの後は規制退場のアナウンスとダブルアンコールの根競べとなり、飛鳥が再登場してとりなすことで終演となりました。
規制退場の最中にステバ席で大歓声が沸き上がりましたが、恐らく飛鳥が挨拶にでも行ったのでしょう。
ライブとしても質が高かった
卒コンは送別が主目的であるのでセットリストは必然的に送り出される者が中心となり、また感動を呼ぶために演出も過剰になりがちでライブの質は二の次三の次であるような気がします。そのため最近相次いだ卒業セレモニーは配信すら見ませんでした。しかしさすがに「大エース」齋藤飛鳥の卒コンだけあって今回はライブとしての質も高かったように思います。