乃木坂46の30thSGアンダーライブが立川ステージガーデンで開催され、9月29日の3日目に参加してきました。事実上の和田まあや卒業興行で、一方で史上最少人数でのライブでしたが、中村麗乃と林瑠奈が抜きんでたパフォーマンスを披露し、会場の一体感は最高でした。
- 地方公演が復活したアンダーライブ
- 史上最少メンバーによるライブ
- 3日目のチケットを入手できた
- 立川ステージガーデンとは
- 全体的に簡略化された入場前のチェック
- 3階の「見切れ席」だった
- クラシックコンサートのようになった演出
- 力強かった北川悠理の歌声
- 「私のために 誰かのために」の進化が止まらない
- 事実上の「和田まあや卒業興行」
- 場内の一体感とダブルアンコール
- 中村と林が抜きんでていた
地方公演が復活したアンダーライブ
アンダーライブとは乃木坂46のシングルで表題曲の選抜から外れたメンバーによるライブで、今回は8月31日(水)発売の30thシングル「好きというのはロックだぜ!」のアンダーメンバーにより立川ステージガーデンにおいて9月27日(火)・28日(水)・29日(木)の3日間、大阪のオリックス劇場において10月3日(月)・4日(火)・5日(水)の3日間開催されます。
8thシングル「気付いたら片思い」発売の際、楽天カード新規会員獲得のためのプロモーションとして東京と名古屋で開催されたのがアンダーライブの出発点でした。2016年の14thシングルからは「東北シリーズ」、「九州シリーズ」といった地方公演も始まりますが、2018年10月に開催された21stシングルでの「北海道シリーズ」が地方公演の最後となります。コロナ禍を経て2021年に全国ツアーが再開されてもアンダーライブは首都圏のみの開催となっていました。
しかしラジオの生放送を抱え、平日は首都圏から離れられない山崎怜奈がグループを卒業したとたんに地方公演が復活しました。今後は「〇〇シリーズ」が復活する可能性があることを示していると言ってもいいでしょう。
首都圏在住のファンにとっては寂しくなりますが、グループの人気拡大のためにはいいことだと思います。
史上最少メンバーによるライブ
「史上最高」という声も上がったアリーナMMでの29thアンダーライブからグループ卒業の山崎怜奈、選抜入りの佐藤楓・弓木奈於・金川沙耶の計4人が抜け、さらにスケジュールの都合で大阪公演の最終日以外は伊藤理々杏も欠席します。(5期生はまだ参加しません。)
アンダーライブのメンバーがほぼ固定されてしまっていると再三述べてきたのですが、今回は随分と変動しました。しかし選抜入りした3名は欠員補充2名に増員1名で、「一度選抜入りすると落ちない」という構図は依然として変わっていないようです。(早川聖来は体調不良による休業、中西アルノは5期生の表題曲不参加によるもので、両名とも「アンダー落ち」ではない。)
「史上最弱」とまで呼ばれた2017年の東京体育館でのアンダーライブ(結果的には伝説的ライブとなった)、ひたすら「少ないぞ」と言われ続けた2109年の「Sing Out!」発売記念アンダーライブ(私が初めて参加したライブ)共に参加メンバーは12名でしたが、今回の東京公演に参加するメンバーはそれより少ない11名です。
今回選抜入りした3名、卒業した山崎、欠席の伊藤理々杏は皆アンダーライブでは中核メンバーであっただけに影響は大きいと思われますが、一方で個々のメンバーのパワーアップが見込まれているのも事実です。
アンダーライブは前評判をいい意味で覆し続けてきた歴史でもあります。神宮球場ライブ初日のMVPと言われた林瑠奈、歌番組における選抜メンバーの代打を一手に引き受けている阪口珠美、一段と安定感を増した中村麗乃、MCで心境著しい矢久保美緒、ライブでは水を得た魚のようになる向井葉月等々、個々の成長の大いに期待することにします。
3日目のチケットを入手できた
今回の会場である立川ステージガーデンは昨年11月に開催された28thSGアンダーライブに続いて2回目になります。収容人員2500人という現在の乃木坂46ではありえないくらいのコンパクトな会場なのでチケットが当たるか心配でしたが、幸いにも3日目のチケットを入手できました。
チケットを確保できれば次はグッズの購入です。当選通知を見てすぐにOFFICIAL WEB SHOPを確認したのですが、マフラータオルはその時点で全て在庫切れでした。こうなると当日の物販に並ぶしかありません。
そうはいっても今回は日産スタジアムでも東京ドームでもなく、最もコンパクトな立川ステージガーデンです。行列もそれほどでもなく、20分ほどの待ち時間でお目当てのタオルを入手できました。
立川ステージガーデンとは
立川ステージガーデンは立川駅徒歩約8分で、多摩都市モノレールに沿った場所にあります。
昨年4月にオープンになったばかりの新しいホールで、「空と大地と人がつながる新しいエンターテインメントステージ」を謳い文句としており。ホール内と屋外をつなげて野外劇場とすることも可能です。
屋外の階段は野外劇場の客席を兼ねているようです。
建物正面に置かれたカラフルな数字のオブジェが印象的です。
大規模会場の時のようなお祭りのような賑わいはなく、会場前は落ち着いた雰囲気でした。
近隣のファミリーマートがちょこっとだけ便乗し、乃木坂46新聞のバックナンバーを販売していました。
全体的に簡略化された入場前のチェック
入場の準備が始まったのは17:45くらいからだったと思います。
検温の順番を待っています。新型コロナウィルス接触確認アプリ「COCOA」のインストールが必要である旨の告知が事前にありましたが、口頭で聞かれただけでした。
金属探知機による検査、チケットと身分証の照合を経て入場できます。今回は手荷物検査もなく、全体的に簡略化されたように思います。
スケジュールの都合で東京公演をお休みする伊藤理々杏の幟もありましたが、それにしても随分と少なくなりました。
1階ロビーにはマスコミ各社からの祝花が展示されています。
今回最も話題となっていたのがこちらです。
2階と3階のロビーにはファンから贈られた祝花が展示されていました。
私が見た範囲で最も大きかったのが黒見明香(上)と吉田綾乃クリスティー(下)に贈られたものです。
3階の「見切れ席」だった
今回の「3階Lブロック1列42番」はステージ向かって右側の最前列手前から2席目です。ステージの左端が見えない「見切れ席」でしたが、最前列であったので前の人の頭が邪魔になるということは一切なく、最初から最後まで座って楽に見ることができました。(3階席の最前列は着席が義務付けられているとか関係なく、私は1列目なら躊躇なく座って見る。)
前回の立川でのライブと同様に、今回もモニターは設けられていません。1階席の12列目からは頭と頭の間からメンバーの細かな表情を直に見ることができましたが、3階席の角はやはりステージまで少し距離があり、最初は身長と髪型に特徴があるメンバー以外は誰が誰だか分かりませんでした。(双眼鏡も持参しましたが、ステージを見るための手段としては今回も全く役に立たなかった。)
しかし慣れてくると不思議なもので、モニターなどなくてもかなりのところまで分かるようになります。また高所から会場全体を見下しているため、普段なら気付かないようなことにも気付いたりしました。
クラシックコンサートのようになった演出
アンダーライブは可能な限り均等に個々のメンバーに光を当てようとしており、その一環として毎回様々な企画が用意されます。オープニングから全体曲4曲が終了した後のMCで林瑠奈から告げられたのは「全員サイリウムを消して着席して見てくれ」というもので、その状態でダンスナンバーが3曲披露されました。
「サイリウムがないと場内はこんなに暗くなるのか」というのが3階席から見た印象です。そういう状況下で座って見ているので、自然と全員前のめりになって明るいステージに集中することになります。
まるでクラシックのコンサートのような雰囲気となり、3曲目が終了した際にはこれまでのライブでは見たことがないような大拍手が起こっていました。
「櫻坂(欅坂)」のライブではちょいちょいこういう演出があると聞いており、「一体何の意味があるのだろう」と思っていたのですが、なるほどよくわかりました。(「プロジェクションマッピングの邪魔になる」というのが本当の理由のようです。)
力強かった北川悠理の歌声
もう一つの企画は「乃木坂PLAYBACK FACTORY」と銘打たれたもので、200曲以上あるグループの持ち歌の中で、メンバー個々がそれぞれ掘り起こしたいと思う曲をセンターとなって披露します。東京公演の3日目は向井葉月センターの「ハルジオンが咲く頃」と北川悠理センターの「じゃあね」の2曲で、バスラでの全曲披露がなくなって封印されてしまう恐れのある曲だっただけにこういう場で聞くことができて何とも新鮮でした。
向井は「乃木坂工事中」では爪痕を残そうとするあまり力み過ぎていつも空回りしている印象がありますが、アンダーライブでは本当に自然ないい表情をしています。「アリーナ席が黄、スタンド席が白」というサイリウムカラーは上から見ているときれいで、自分も参加しているという幸福感は現地ならではのものでしょう。
アンダーライブの北川は控えめに見える印象とは正反対で、29thでは「サヨナラの意味」、今回は「じゃあね」と「橋本・白石」という2大レジェンドメンバーの卒業曲を立て続けに選んで場内にどよめきを起こします。
全身を使ってパフォーマンスする北川の歌声はひたすら力強く、余計な雑音を全てシャットアウトさせてしまうだけの迫力がありました。
こうなってみると初日に披露された中村麗乃センター「最後のTight Hug」を聴けた人がうらやましくて仕方ありません。配信がある大阪の最終日に再度披露してもらうことはできないものでしょうか。
「私のために 誰かのために」の進化が止まらない
初日と二日目のセットリストを見ていて特に楽しみにしていたのが「私のために 誰かのために」と「錆びたコンパス」の2曲です。
「私のために 誰かのために」は乃木坂46の楽曲の中でも初期の代表的なバラード曲です。オリジナルメンバーは当時「歌うま選抜」と言われた白石・高山・衛藤・桜井・川村の5名で、衛藤は自身の卒業ライブのラストにこの曲をソロで歌いました。
その後、久保が22ndアンダーライブ(久保が参加した唯一のアンダラ)と3・4期生ライブで披露するなど、この曲は歌唱力のあるメンバーによって歌い継がれてきたというイメージがあります。今回はそんな曲を林と中村を中心とした5名(残りの3名は誰かわからなかった)で歌います。
3・4期生ライブは私も現地でおりましたが、この時に歌った久保・中村・遠藤・賀喜の4人を、今回のライブにおいて林と中村の二人だけで吹っ飛ばしてしまったような迫力がありました。「私のために 誰かのために」は進化が止まらない曲のようです。
「錆びたコンパス」が最後に披露されたのは3月下旬に開催された28thアンダーライブが最後で、随分と長いことライブで聴いていなかったような気がしています。山崎怜奈が卒業して「錆びたコンパス」のセンターを誰がやるのか、そもそも運営はこの曲をアンダラでやる気があるのか、前から気になっていただけに初日のセットリストに「M17 錆びたコンパス C松尾」と書かれているのを見た際は安堵しました。
ほぼ山崎怜奈個人を意識して書かれたと言われる曲ですが、松尾も似合っていたと思います。本当にライブ向きの曲で最後のサビの部分ではちゃんと会場のほぼ全員が拳を突き上げており、みんなこの曲を待ち焦がれていたのではないかと思います。
事実上の「和田まあや卒業興行」
今回のアンダーライブは事実上の「和田まあや卒業興行」で、大阪公演の最終日が卒業ライブということになると思われます。ここ1年のアンダーライブは和田と山崎の二人で引っ張ってきたという感が強く、この二人が相次いで卒業というのは何とも寂しいものがあります。
和田と言えば典型的な「ホームランか三振か」タイプでした。29thアンダーライブの初日にグダグダの和田を現地で見た私は最終日に卒業発表するのではないかと本気で心配していたのですが、実際は彼女の天才的な部分がいかんなく発揮されて奇跡のような盛り上がりとなり、「東京体育館を超えた」史上最高のライブと言われるまでになりました。
こういう超個性派メンバーが抜けてしまうのは残念でなりません。
場内の一体感とダブルアンコール
ライブ終盤以降の場内の盛り上がりと一体感は素晴らしく、ライブ本編が終わってアンコールに入る際の手拍子も力強く揃っていました。「どうせこの後アンコールだろ」とでもいうようなおざなりなものではなく、そのあたりから何かが起きそうな雰囲気に満ち満ちていたように思います。
アンコールが終わってメンバーが退場し、規制退場のアナウンスが流れても場内には当然といった感じで力強い手拍子が続きます。「もう一回メンバーが出てくるまで帰らないぞ。」という意思で全員がいつの間にか統一されていたようで、その圧力に押されたのか先ずアナウンスが止み、規制退場のプラカードをもった係員が引っ込み、ステージに再び照明がともされメンバーが登場しました。
全員整列してマイクを使わない肉声での挨拶だけで終了しましたが、私にとって乃木坂のライブ11回目にして初のダブルアンコールでした。
中村と林が抜きんでていた
11人という史上最少の人数は全くライブには影響せず、一人一人をよく見ることができて逆に良かったのではないかと思います。
北川や黒見の力強い歌、向井のギターや矢久保のハーモニカなど見どころはありましたが、全体としては中村と林が抜きんでていました。生田絵梨花が卒業して以降は乃木坂で歌と言えば久保ということになっていますが、ひょっとすると中村の方が上回っているのではないかと感じられたライブでした。
2階席正面の一列目になぜがまとまって空いている席があり、ライブ中にいつの間にか全てサイリウムを持っていない一団で埋まっていました。アンコールが終了する直前に係員に引率されて退席したので恐らく見学に来ていた5期生でしょう。その中でも前のめりになってひたすらステージを見つめていた一人は井上和に見えました。
井上がアンダーライブに出ることは今後恐らく一度もないと思いますが、乃木坂の良き伝統を今後継承してもらいたいと思います。