乃木坂46伝統のアンダーライブが無観客配信で開催されました。今回は山崎怜奈初の座長公演で様々な新しい試みがなされており、これまでとは一味も二味も違うライブだったと思います。今回も中村麗乃が傑出していました。
- 山崎怜奈初の座長公演
- 山崎座長公演ならではの新しい試み
- やはり傑出していた中村麗乃
- アンダーライブがあるから乃木坂は強い
- 伊藤純奈と渡辺みり愛の卒業ライブでもあった
- 超選抜とアンダーメンバーが一体化した3期は強い
山崎怜奈初の座長公演
27thアンダーメンバー13名によるライブ
アンダーライブとは乃木坂46のシングルで表題曲の選抜から外れたメンバーによるライブで、今回は6月9日(水)発売の27thシングル「ごめんねFingers crossed」のアンダー13人(今回も4期生除く)により5月26日(水)に横浜アリーナにおいて無観客配信で開催されました。
「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。(TOKYO FM)」内で開催の第一報が流されたのが5月2日(火)だったのでかなり急な話です。アンダーライブは昨年12月に有観客で実施した実績があり、新型コロナウィルスの緊急時代宣言発出中という情勢下でギリギリまで観客を入れる手段を模索していたようです。
アンダーセンターとは
アンダーライブで常に話題になるのが「アンダーセンターが誰になるのか」ということです。アンダーセンターとは最新のカップリング曲のセンター(基本的に前列中央にいる人)を務めるメンバーのことで、アンダーライブにおいては特に「座長」として大々的にPRされます。
そうはいってもライブの演出としてはメンバー個々に光が当たる構成になるのが通例で、イコールコンディションの中でのガチンコ勝負によってアンダーライブは独特の熱気を感じさせるものとなっています。
アンダーセンターは非選抜の中で「序列1位」として公式に認定されたようなものですが、次回シングルでの選抜入りが約束されている訳ではありません。(選抜がほぼ固定された最近はそうならないことの方がほとんど。)
花形ポジションであることは間違いないものの、私の認識としてはライブの最後で決意表明をする係という程度でした。
発表前から噂されていた
今回のアンダーライブでは山崎怜奈がアンダーセンターではないかという話が正式発表前からほぼ既定事項のように広まっていました。
山崎はテレビ・ラジオの両方でレギュラーを持ち、それに加えてクイズや教養番組にも数多く出演しています。今や仕事の本数では選抜常連組を押さえてグループ内でも断トツ1位であり、加藤浩次、伊集院光、神田伯山、坂上みきといった超大物と丁々発止のやり取りを繰り広げたことでラジオパーソナリティーとして高い評価を受けています。それにもかかわらずグループに加入以来8年間、選抜どころかアンダーセンターすら一度も経験しておらず、グループに関する謎の一つとなっています。
名曲「錆びたコンパス」
「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。(TOKYO FM)」では昨年10月のスタート以来どちらかと言うとグループと距離を置いた内容の放送が続いていましたが、5月になって突然乃木坂のアンダーに関するコーナーが設けられました。
アンダーライブに関する情報が全てこのコーナーで解禁されるようになったことから「山崎アンダーセンター」説が流れ、実際に新アンダー曲「錆びたコンパス」のセンターが山崎であることが11日の放送で本人から発表されます。さらに18日には「錆びたコンパス」の音源が公開されました。
「錆びたコンパス」(略称「錆びコン」)は前向きな分かりやすい歌詞でワクワクするような曲調となっており、「シンクロニシティ」以降の乃木坂では最大の名曲だと思っています。「日常」や「自惚れビーチ」と同様、こんな曲が出現するのですからアンダー楽曲から目が離せません。
山崎座長公演ならではの新しい試み
表題曲には目もくれず曲ごとにセンターを変えてアンダー曲を披露し続け、その熱気と迫力で自らをアピールするというかなり硬派な演出が最近のアンダーライブの特色でしたが、初の山崎座長公演となる今回は従来とはかなり異なった内容でした。
ラジオ番組風の演出
今回の最大の特色は客がまるでFMの番組を楽しんでいるかのように感じさせる演出がなされていることでした。
「山崎怜奈のアンダラで話したかったこと」という架空の番組を設定し、パーソナリティの山崎によるスタジオからの曲紹介に合わせてライブが進行していきます。(スタジオのシーンは全て事前収録)
またメンバーをゲストとしてスタジオに迎えて意気込みを聞く(これも事前収録)、曲の感想を募集して実際に寄せられたファンの声を本番のステージ上で紹介するなど、従来より相当に凝った内容でした。
ファンからのリクエスト募集
今回のライブでは聴きたい曲、今回限りのユニット、曲の演出等のリクエストをあらかじめ募集するという試みもなされており、寄せられたファンの声は12000件を超えていたといいます。セットリストの中盤頃までは寄せられたリクエストに応えた内容となっていました。
セットリストはライブの命でありこれをリクエストに委ねるとは何たることと最初は思いましたが、寺田蘭世・鈴木絢音による「心のモノローグ」(原曲は白石麻衣と西野七瀬)、中村麗乃による「硬い殻のように抱きしめたい」(原曲は斎藤飛鳥)、伊藤純奈の歌と渡辺みり愛のダンスによる「ショパンの嘘つき」(原曲は白石麻衣、生田絵梨花、松村沙友里)等々、通常の発想では到底思いつかないようなユニットを楽しむことができました。
アンダー曲でゴリゴリ攻めるアンダーライブもいいのですが、こういう楽しい演出もなかなかいいものです。(ちなみに「中村麗乃センターでアナスターシャ」という私のリクエストは没でした。)
山崎による仕切りは圧巻だった
ラジオ番組風の演出は15曲目までで、それ以降は従来通りのアンダーライブに戻りました。
このような演出はやりすぎれば間延びして熱気を冷ましてしまいますし、トークが下手だとグダグダな展開になってライブをぶち壊してしまいます。開始直後は「何でこんなこと始めたんだ?」と大いに心配しましたが、進行するにつれて「これもありだな」と思うようになりました。
FMの生放送で鍛えた山崎の曲紹介はやはり上手く、twitterに寄せられたライブの感想を舞台上でタブレット端末から紹介しながら各メンバーに話を振るなど、全体の仕切りは圧巻でした。
決意表明係だった従来と比べ、今回はとんでもなく座長に負荷のかかるライブだったと思います。
やはり傑出していた中村麗乃
今回は少人数のユニット曲が多かった関係もあって従来以上にメンバー個々に光を当てる内容で、私個人としてはその中で中村麗乃が特に印象に残りました。
中村麗乃は歌番組や各種バラエティー番組どころかホームグラウンドである「乃木坂工事中」ですらほとんど出番がありませんが、ライブになればとにかく目立つメンバーであることはこれまで度々ご紹介してきました。長身でスタイルも良く歌もダンスも上手い上に表情も豊かです。回を重ねるごとに存在感を増しており、今回は唯一ソロ曲を任されるまでになりました。
28枚目シングルでは山崎が選抜に昇格し、中村が座長になることを望みます。
アンダーライブがあるから乃木坂は強い
かつて白石麻衣と並びグループの2枚看板の一角であった西野七瀬は2016年のインタビューで「選抜メンバーはライブが少なく、ライブが多いアンダーが羨ましい」という趣旨の話をしています。
最近はコロナ禍等により情勢が変わっていますが、基本的に2月のバースデイライブと真夏の全国ツアーしかライブがない選抜に対し、アンダーはそれに加えて全国各地の全体ライブでは行かないような場所を巡る「東北シリーズ」「九州シリーズ」というようなライブを実施してきました。
ライブの数をこなせば当然ながら歌とダンスのパフォーマンス力は上がります。乃木坂46の最大の強みはメンバーの層が厚いことだと思っていますが、ライブで鍛えられた強力なアンダーメンバーの存在がそのベースになっているのではないでしょうか。
伊藤純奈と渡辺みり愛の卒業ライブでもあった
今回のアンダーライブは2期生の伊藤純奈と渡辺みり愛の卒業ライブでもありました。
27thシングルでは4期生が数多く抜擢される一方、2期生で選抜入りしたのは新内眞衣1人だけ。「不遇の2期」というのは以前から言われ続けてきたものの、この「露骨」といってもいい選考に一部のファンの間ではモヤモヤが溜まっており、2人の卒業のニュースがきっかけとなってネットは一時大荒れになったようです。
伊藤は歌唱力で、渡辺はダンスでそれぞれグループを代表する実力者であり、当然ながらそのパフォーマンスはアンダーライブの中核でした。最近実力派メンバーの卒業が続いているだけに2人の卒業がアンダーライブに与える影響は大きく、歌えるメンバーが多く揃う4期生の早期合流が望まれます。
それにしても昨年のバースデイライブで「影のWVP」とまで呼ばれた伊藤純奈が選抜ゼロのまま卒業してしまうというのは何とかならなかったものでしょうか。
超選抜とアンダーメンバーが一体化した3期は強い
昨年12月のアンダーライブは有観客で、幸いにもチケットが当たった私は武道館で楽しむことができました。その時感じた迫力に比べると無観客配信ライブはやはり物足りなさがあり、早く満員の会場が紫一色に染まるような光景が戻って欲しいと思います。
今年は毎年恒例のバースデイライブも無観客配信になってしまいました。
2月下旬から5月上旬にかけて5回(全体ライブと1期~4期の期別ライブ)に分けて開催されましたが、前半部分の記憶がおぼろげになってしまいもはや詳細な記事は書けません。
注目の期別ライブに関していえば、「3期≧2期>>1期>4期」ではなかったかと思います。
油がのったメンバーが「王道の継承」を唱えて突っ走った3期と掘の卒業ライブに思いのたけをぶつけた2期が突出していたのに対し、1期は多少間延びしていて4期は内容が薄かったという印象です