乃木坂46の白石麻衣がグループを卒業した10月28日の無観客配信ライブの詳細レポです。都内にある「聖地」の当日の様子や開演時に発生した大混乱、ただただ健気であった大園桃子の笑顔などいろいろとポイントがありました。
- 最も知名度が高くグループの象徴である白石麻衣
- 意外にひっそりとしていた都内の聖地
- 発売された2種類のチケットの内容
- 開演時に発生した大混乱
- メンバーの精神面にも影響した白石の卒業発表
- 健気だった大園桃子
- 配信ライブはやはり物足りない
最も知名度が高くグループの象徴である白石麻衣
白石麻衣といえば間違いなく乃木坂46の中でも最も知名度が高く、グループの象徴と言うべきメンバーです。2011年8月21日の結成以降現在までの約9年間グループの中心であり続け、これまで発売されたすべてのシングルで選抜メンバー入りしている上、立ち位置は全て1列目か2列目という「福神」であり続けました。(卒業まで一度も「福神」から外れなかったのはこれまで橋本奈々未と白石の二人だけ。)
グループ活動以外でも活躍は顕著で、2017年に発売した写真集は3年を経過した今でも売れ続けて社会現象と言っても良い状況となり、さらにCMにも引っ張りだこで2018年度にはCM女王にまでなりました。
私が乃木坂46に興味を持つようになったのは2013年3月に発売された「君の名は希望」で、この頃は1列目が生駒・生田・星野の年少メンバーでほぼ固定されていた時期です。しかし2列目に「乃木坂御三家」と呼ばれる白石・橋本・松村の年長組が入ることでただのカワイ子ちゃんグループではない独得の雰囲気を醸し出しており、そこに惹かれるものがありました。
その白石がグループを卒業することを発表したのが2020年1月7日です。当初は5月5・6・7日に東京ドームで卒業コンサートを開催する予定でしたが、突如降ってわいたような新型コロナウィルス感染拡大によりライブは中止、卒業も延期となっていました。その後も感染症の終息のめどが全く立たない状況が続く中で対応が注目されていましたが、最終的に無観客の配信ライブを実施することに決定しました。
意外にひっそりとしていた都内の聖地
都内には乃木坂46の聖地と呼ばれ、ことあるごとにファンが集結するような場所がいくつかあります。平日でコロナ禍という悪条件下ではありますが、卒業公演当日の聖地がどのような様子が実際に確かめてきました。(2019年3月19日(火)に開催された衛藤美彩の卒業ライブの時と比べて全体的にひっそりとしており、これは意外でした。)
乃木坂駅
これまで様々な映像の舞台として使用されてきた場所で、生田絵梨花のピアノ演奏による「君の名は希望」が発車メロディーに採用されています。
メンバーの誕生日や卒業等、折に触れて有志が作成したポスターが掲示されるのが恒例となっており、今回もやはりありました。
「乃木坂46香港応援協会」の手による巨大なポスターが掲示されていました。私がこれまで見てきた中で最大サイズのポスターです。
まる彦
乃木坂を上りきって六本木方面に少し進んだところにあるラーメン屋で、ソニーミュージックエンタテインメントのビルがまだ乃木坂にあった頃に衛藤美彩が通っていた店です。テレビ番組内でお勧めとしてこの店を紹介したことからファンが集結するような場所となり、特に神宮球場でライブがあるときには1時間以上の待ち時間が発生します。また地方在住のファンが東京見物をする際に必ず立ち寄る店なのだそうです。
レジ周辺に貼られているメンバーの写真が来るたびごとに増えてもの凄いことになっていますが、それ以外は全く普通のラーメン屋で、こういった「聖地」にありがちな「一般客が引いてしまう」ということは決してありません。耳をすませば乃木坂46の曲がBGMとして微かな音量で流れており、気が付いたら白石の参加曲ばかりでした。
始めてみるメニューの担々麺です。平日ということもあってファンで混雑ということはありませんでしたが、隣に座ったスーツ姿のサラリーマンが味噌ラーメンと高菜ご飯の「みさ先輩セット」を注文しており、彼もまた仕事の後にライブを視聴する予定なのかもしれません。
後で知りましたが、まる彦でラーメンを食べながらスマホで卒業ライブを視聴していた強者もいたようです。
乃木神社
ひっそりと静まり返る中、卒コングッズTシャツを着た女の子3人組が記念写真を撮っていました。
絵馬掛けには願い事が書かれた多くの絵馬か掛けられており、その中にはこの日のライブについて書かれたものも数多くありました。
「白石麻衣さんの卒業コンサート電波障害などおきず成功しますように」と書かれており、あまりの健気さに感動しましたが、実際はそれよりもっと酷いことになりました。
発売された2種類のチケットの内容
今回の配信ライブのチケットはモバイル会員限定特典付きチケット(5000円)と一般視聴チケット(3500円)の2種類が販売されていました。
モバイル会員とは簡単に言えばスマホ限定のファンクラブで、会員特典としてライブのチケット発売に際して会員限定の先行受付を利用できます。今や最もチケットのとりづらいアイドルグループである乃木坂においてこの特典は大変に有難みがあるため、イベントやライブに何度も参加するようなガチのファンはほぼ全員加入していると思われます。(首都圏で開催されるライブの場合、モバイル先行の抽選で外れるとチケットの入手はほぼ無理。)
希望者全員が視聴可能なライブであるため今回は先行受付というメリットはありませんが、
⓵ライブ終了後30分間アフター配信を視聴できる
⓶シリアルナンバー付メモリアルチケットをもらえる
➂メンバーのステージ上での集合写真がもらえる
等々の特典があります。
配信メディアとしては一般視聴チケットの場合は9社の中から選択できるのに対し、モバイル会員限定特典付きチケットの場合はRakutenTVのみとなっており、これが後に「モバイル会員の悲劇」につながりました。
会場については完全に秘密が保たれており、また記念グッズはインターネット通販のみでした。
開演時に発生した大混乱
既に報道等によりご存知の方も多いのではないかと思いますが、ライブ当日にアクセスの集中によりRakutenTVがつながりにくくなり、多くの視聴者が7時の開演時間になっても専用画面にログインできないという事態が発生しました。急遽開演時間を30分遅らせましたが、アクセス集中によるサーバートラブルがこんな短時間で解決するはずがありません。結果として開演時間になってもライブを視聴できない人が続出しました。
今回RakutenTVを利用した人の多くは5000円の特典付きチケットを購入したモバイル会員です。グループ最大の功労者の卒業ライブという絶対に失敗が許されないイベントで、わざわざ高いチケットを購入してくれた大切な常連客が視聴できないというのは楽天の大失態と言っていいでしょう。
私も特典付きチケットであったため開演時間に入場できず、辛うじてスマホからアクセスできたのが開演15分後。小さな画面では何もわからずもう完全に諦めていましたが、8時10分ごろにRakutenTVのサイトが復旧していることに気付き、ようやくPCで見ることができました。
前半部分は急遽翌日に設定されたアーカイブ配信で改めて見るしかありませんでした。
メンバーの精神面にも影響した白石の卒業発表
白石は長らくグループの中心メンバーであったため、卒業ということになれば当然ながら多くのメンバーの精神面にも影響します。
彼女を実の姉ように慕っていた大園桃子は卒業発表直後に「もう今から卒業ライブを耐えられる自信がありません」「出会わなければすきにならなかったのに」とブログに記し、その素朴で飾り気のない表現は多くの人の心を打ちました。(一方で「大園は大丈夫なのか?」と心配するファンも多かった。)
レギュラーを務めるラジオの生番組と当日のリハーサルが重なってしまった山崎怜奈は会場の駐車場から場内の模様をレポートし、その中で「リハーサル中から泣き出すメンバーが絶えない」と伝えていす。そうなると、さいたまスーパーアリーナを埋め尽くした観客が終演後に誰一人立ち上がることができなかったという、橋本奈々未の伝説的卒業ライブのようになることが十分に予想されました。
健気だった大園桃子
実際のライブは全体的に「笑顔で送り出そう」というメンバー全員の強い意志を感じさせるような内容で、涙を拭くためにティッシュをメンバーが次々と手渡ししていくようなシーンはあったものの、全体としては明るく爽やかなものだったと思います。最も心配された大園も序盤で「白石さんの素敵な笑顔を見られるように、心配させないように、もっとしっかり頑張る」と涙をこらえて決意表明していました。
フォーメーションの関係で白石の後ろに大園が立つことが多かったことから2人が何度もカメラに抜かれ、晴れ晴れとした表情の白石と健気に笑う大園のツーショットがそのたびごとに画面にアップになります。あの大園が頑張っているのですから、先輩が泣くわけにはいかないでしょう。
終演後のアフター配信の中で白石は現役メンバー1人1人とハグし、最後に松村沙友里としっかりと抱き合ってマイクに入らないように何事か言葉を交わしていました。かつて橋本が卒業ライブの最後に白石と抱き合っていたことが思い出され、御三家(白石・橋本・松村)及び1992年組(御三家に加えて衛藤)の絆の強さを感じました。
ちなみに謎に包まれたままだった会場は3・4期生ライブでも使用した代々木第一体育館でした。
配信ライブはやはり物足りない
無観客配信ライブというのは私も初めてで、画質と音質の良さに驚かされました。さらに一部の曲を除いて観客によるコールがないので、通常のライブよりじっくりと歌を聴くことができます。乃木坂46はルックスばかり注目されがちなグループですが、「歌声も綺麗なグループである」ということが今回よくわかりました。
視聴者数に制限がないことから、チケットが外れるということを心配しなくていいのもなかなかいいものです。
これに関して一部スポーツ紙の記事に、「絶えずメンバーがアップで映り、表情がすぐわかる。」「トイレの長蛇の列や、帰宅ラッシュなどを考えると快適。」ということで、こういう形式の配信ライブは「今後も普及する予感がする。」と結論付けたものがありました。
しかしライブ会場で生で感じる迫力や一体感は特別なものがあり、これに比べれば配信ライブは全く物足りないものがあります。チケットが外れた人に対する救済策としては有望だと思いますが、コロナが終息してしまえばこのような無観客ライブが主流になるということは決してないでしょう。